労務経営ブログ
これからの障害者雇用の考え方
法改正の時の用な話題となっていないが、今年の4月大きな改正が施行されました。
障害者雇用促進法による「差別禁止」と「合理的配慮の提供義務」です。
どちらも今までの日本の障害者施策とは、違う大きな転換となる改正となります。
この改正の経緯は、国連が採択した障害者権利条約を日本も批准したことによるもので、外圧とは言わないまでも、世界のスタンダードとなる考え方を日本でも受け入れたことということが言えると思います。
そのため、これまでの日本の障害者雇用とは根本的な考え方と違いがあり、特に今まで障害者雇用を進めてきた企業の担当者や専門家の間には戸惑う人が多いのではないだろうか?中には、新たな制約や義務が課され、今以上に厄介ごとが増えるのではないかと危惧する人もいます。
しかし、これは企業と障害者との新たな関係を築くチャンスになるのではないだろうか?
今までの障害者雇用は主に身体障害者を中心に考えられてきました。
企業が障害者雇用を検討する場合、自分で通勤ができて、普通に仕事を与えることができる人を希望すれば、身体の障害者、特に身体の欠損などがない、内臓機能などの障害を持つ内部障害者が中心になることは、ある意味仕方のないことだといえます。
語弊を恐れずに言えば、企業としては「普通の人と同じような仕事はできないんだから、あまり迷惑が掛からない人材」であれば採用したいと言えると思います。
障害者は人件費等の費用対効果の観点から、生産性の面で懐疑的に思われています。
これは、ある意味当然ともいえます。
つまり、これはあくまで企業の社会貢献としての「福祉」であり、「雇用」とは捉えられていないということです。
今後、法定雇用率はさらに上昇が予定されているが、企業が採用したいと思う障害者はすでに足りない状態です。
そうなると、これまでのような「福祉」という考え方から、障害者を一人の従業員として考える「雇用」へと考えをシフトする必要性が出てくると思います。
また、企業のこういった考えは、離職率に悩む企業の突破口に通じるものになると思います。
大事なのは企業の考え方です。
自身も障害者雇用で働いた経験があるからわかりますが「障害者あるから大変だろう」と特別扱いすることは、周りから、特に同じ職場の同僚から偏見や差別を生むだけです。
また、行き過ぎた健常者と同様に扱うことも、障害者の必要以上の無理や圧迫を与えることになります。
これは今後虐待やパワハラとして問題となる可能性も高いでしょう。
特に冒頭にあげたように、今までと違った考えの法律が施行されています。
今後、より一層慎重な対応が企業に求められます。
こういった新しい流れを企業と障害者ともに有益なものとするためには、双方ともに「福祉」から「就労(雇用)」であると認識を改める必要が出てくると思います。
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