労務経営ブログ
障害者雇用に関する「ジョブ型」導入は中小企業にも適用可能
障害者雇用に「ジョブ型」を導入することは、大手企業だけでなく、中小企業にとっても有効な手法です。特に障害者雇用の進展が求められる一方で、人員や時間に限りがある中小企業では、ジョブ型の導入により業務がより効率的に進むという利点があります。配属する業務が明確であれば、新たな指導の手間が減り、障害者が職場で即戦力として定着しやすくなるのです。
また中小企業の経営者や人事担当者にとって、障害者雇用はまだ未知の分野であることも多く、結果的に雇用や管理が行き届かないことがあります。そのため障害者雇用の進め方を見直し、ジョブ型による業務定義を徹底することで、障害者本人が業務に集中でき、負担が軽減されます。これにより職場全体の業務効率が上がり、企業全体の生産性向上にもつながるでしょう。
〇労働環境の整備が必要な企業に限定したアプローチ
「ジョブ型」の導入は、特に現行の業務環境に課題を抱える企業に向いています。障害者の働きやすさや業務負担の軽減に悩んでいる場合や、職場での離職率が高い場合、また、他部署からの突発的な業務依頼が発生しやすい職場において、ジョブ型の導入は大きな効果を発揮します。特に障害特性に応じた職務の定義が必要なケースでは、ジョブ型により障害者本人の不安を取り除き、日々の業務に集中しやすい環境が作られます。
さらにジョブ型の導入によって職務内容が明確になると、他の社員にとっても業務範囲が明確になり、障害者と同僚との間で協力関係が生まれやすくなります。このように業務効率を重視する企業や、障害者雇用を進める意欲の高い企業にとって、ジョブ型の導入は検討に値する有力な手法といえるでしょう。
〇障害者雇用における職務定義とジョブ型の導入に向けて、まず行動を起こしましょう
「ジョブ型」の導入を検討することは、障害者雇用におけるさまざまな課題を解決するための第一歩です。もし貴社が現在、障害者の定着に悩んでいたり、配属部署からの業務負担が重く感じられているような声がある場合、早めに職務定義書を整備することをおすすめします。職務定義書は業務内容と業務範囲を明確にし、障害者本人が集中できる環境づくりの基盤を整えるうえで欠かせないツールです。
ステップ1: 現行業務の洗い出しと整理
まず障害者が担当している業務内容を一つずつ確認し、整理することから始めましょう。担当業務の一覧を作成し、適切な職務定義書のフォーマットに沿って、どの作業がコア業務でどの作業が補助業務にあたるかを区別します。社内の人事担当者だけでなく配属先の現場担当者と協力して進めることで、実際の業務内容に即した定義書を作成できるようになります。
ステップ2: 職務定義書の作成と運用体制の確立
業務内容が整理されたら、職務定義書の作成に移りましょう。障害者の特性に配慮しつつも、実際の職務で必要な業務を具体的に記載します。定義書を作成した後は、現場の管理職や同僚にも共有し、業務の運用体制を整えます。これにより障害者が担当業務に専念できるだけでなく、職場全体での役割分担が明確になり、効率的な仕事の流れが生まれます。
ステップ3: 定期的なキャリア面談の実施と評価制度の見直し
ジョブ型の導入後も、本人のキャリアアップを支援するために、定期的なキャリア面談を取り入れることが効果的です。業務内容や成長意欲を確認し、必要に応じて業務の調整やキャリアパスを検討します。併せて障害者本人のスキルや成長を適正に評価する賃金制度の見直しも検討し、定着とモチベーションの向上を図ります。
障害者雇用やジョブ型導入についてさらに具体的なアドバイスが必要な場合は、社会保険労務士法人東京エルファロまでご相談ください。私たちは貴社の状況に応じたアドバイスや制度設計のサポートを行い、障害者雇用の課題解決と職場の安定した成長に向けたお手伝いをいたします。