労務経営ブログ
採用時の工夫とは?マッチングの最適化で障害者雇用を成功させる
障害者雇用を成功させるためには、採用時の工夫がとても重要です。特に、求職者のスキルや適性に合った職種の選定を行い、障害特性に合った配置をすることで、働きやすい環境を整え定着率を向上させることができます。また、ハローワークや各種支援機関と連携することで、より良いマッチングが可能となります。ここでは、採用時の工夫として、スキルを活かす職種選定のポイントと支援機関との連携方法について解説します。
〇求職者のスキルを活かす職種選定
障害者雇用を行う際には、単に雇用枠を設けるのではなく、求職者のスキルや障害特性を活かせる職種を選定することが成功の鍵となります。
1.障害の特性に応じた業務内容のマッチング
障害の種類によって、適した業務が異なります。以下に、代表的な障害ごとに適した職種の例を挙げてみます。
障害の種類 適した職種の例 配慮すべき点
身体障害 データ入力、事務、プログラミング バリアフリー環境の整備、通勤負担の軽減
聴覚障害 デザイン、製造補助、在庫管理 筆談ツール・チャット活用、手話通訳の提供
視覚障害 音声入力、カスタマーサポート 音声読み上げソフトの導入、点字マニュアルの用意
精神障害 事務作業、軽作業、テレワーク 定期的な面談、ストレスの少ない職場環境
発達障害 プログラミング、データ分析、倉庫作業 ルールの明確化、タスク管理ツールの活用
このように、障害者が持つスキルと業務内容を適切にマッチングさせることで、無理のない働き方が実現し定着率の向上につながります。
2. 業務のカスタマイズとサポートの工夫
業務内容を可能な範囲で細分化し、障害のある従業員が負担なく取り組めるようにしたり、適正に応じた配置転換を行い、働きやすい環境を提供する。または、支援機器の導入(例:スクリーンリーダー、音声入力ソフト)して業務のハードルを下げる工夫などもおこないます。こういった機器の導入には助成金の活用が可能な場合があります。
さらに、ハローワーク・支援機関との連携を検討してみましょう。求職者と企業のミスマッチを防ぐためには、ハローワークや支援機関との連携が非常に有効な場合があります。これらの機関を活用することで、企業のニーズに合った人材を見つけやすくなります。
(1)ハローワークの障害者雇用支援を活用
ハローワークでは、障害者向けの専門窓口が設置されており、以下のようなサポートが受けられます。
・障害者雇用トライアル制度
一定期間の試用雇用を経て、本採用を検討できる制度です。企業には助成金が支給され、本採用の前に障害者の性格やジョブスキルの確認などを試すことが出来るため採用リスクを軽減できます。
・職場適応援助者(ジョブコーチ)の派遣
障害のある社員がスムーズに職場に適応できるよう、ジョブコーチが業務習得をサポートします。
・職業訓練プログラムの提供
企業のニーズに合ったスキルを持つ求職者を紹介します。
(2)地域の支援機関と連携
関東近県には、障害者雇用を支援するさまざまな機関があります。
・東京都:「障害者就業・生活支援センター」
求職者と企業をマッチングし、就業後のフォローアップも実施しています。
・神奈川県:「かながわ障害者雇用支援センター」
企業向けの雇用アドバイスを提供し、職場環境の整備をサポートします。
・千葉県:「障害者就労支援ネットワーク」
企業と障害者の橋渡し役となり、定着支援を実施したりします。
・埼玉県:「障害者雇用推進センター」
障害者の就職活動支援と企業向けの研修を提供します。
(3)支援機関を活用した採用活動の具体的な流れ
ハローワークや支援機関に求人情報を伝え、企業が求めるスキルや職種の詳細を伝えることが重要です。特に求めている仕事の内容などを伝えることは、定着への第一歩となります。それをもとに支援機関が企業に適した人材を紹介してくれるので、マッチングを実施します。これをもとに、職場見学や体験雇用を実施し、求職者と企業の相互理解を深めるようにします。この時に、誤解を恐れずに必要な質問をしたり、社会生活を送れる状態なのかを確認することも長く働くために必要なことと考えて、しっかりとしたヒアリングなどを事前に検討しておくことも必要です。
そのうえでトライアル雇用制度を活用し、一定期間の試用期間の雇用を行いましょう。この時にジョブコーチやメンター制度を導入し、定着支援を強化したりすることにより安定した雇用が実現しやすくなりますので検討してみてください。
障害者雇用を成功させるには、適切な職種選定と支援機関との連携が欠かせません。企業が求職者のスキルや障害特性を理解し、無理のない仕事を用意することで従業員の定着率は向上します。またハローワークや地域の支援機関を活用することで、ミスマッチを防ぎ、より適切な人材を採用することが可能となります。
関東近県にはさまざまな支援制度が整っているため、企業はこれらを活用しながら障害者雇用をよりスムーズに進めることができます。今後、障害者雇用を検討している企業は、支援機関や社会保険労務士などのサポート機関との連携を強化し、障害者にあった業務や配置を行うことで、安定した雇用環境を築いていくことに繋がります。