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法定雇用率とはどのように計算するのですか?

障害者雇用に関心を持つ企業の担当者や、これから採用計画を立てる経営者の方がよく抱く疑問に「法定雇用率の計算方法」があります。法定雇用率は、企業が雇用しなければならない障害者の割合を定めたもので、遵守しないと行政指導や納付金の対象になることもあります。しかし、具体的にどうやって自社の雇用義務数を算出するのか、分かりにくい部分も多いでしょう。ここでは、その計算方法を中心にわかりやすく解説します。

結論:法定雇用率は「障害者数 ÷ 常用労働者数」で算出する

法定雇用率は、基本的に「常用労働者数に対して何人の障害者を雇用すべきか」という割合で定められています。
2024年4月現在、民間企業の法定雇用率は2.5%です。つまり、従業員数に応じて必要な障害者雇用人数を以下のように計算します。

必要雇用人数 = 常用労働者数 × 2.5%(法定雇用率)

例えば、従業員数が200人の会社であれば、200 × 0.025 = 5人の障害者を雇用しなければなりません。
計算結果が小数点になる場合は「切り捨て」が原則ですが、最低1人の雇用義務が発生する点に注意が必要です。

法定雇用率の背景と根拠

法定雇用率は、障害者雇用促進法に基づいて定められており、社会全体で障害者の雇用機会を確保する目的があります。民間企業だけでなく、国・地方公共団体や独立行政法人などもそれぞれ異なる割合が規定されています。
また、法定雇用率は社会情勢や障害者数の推移に合わせて定期的に見直されており、2026年度までに段階的に引き上げられる予定です。したがって、企業は常に最新の情報を確認することが求められます。

よくある誤解

一つの誤解は「パートやアルバイトは計算に含まれない」というものです。実際には、一定の労働時間(週20時間以上)を満たす場合は常用労働者数に含める必要があります。
また「障害者手帳を持っていれば誰でも算入できる」と考える方もいますが、就業状況や勤務時間によっては算入できないケースがあります。特に短時間勤務者は0.5人としてカウントされるなど、細かなルールがある点に注意が必要です。

実務での注意点

法定雇用率の計算で多いミスは、従業員数のカウント方法です。派遣社員や契約社員をどう扱うか、勤務時間が不規則なパートをどう計上するかで結果が変わります。
また、障害者雇用状況報告(毎年6月1日時点の雇用数を報告)では正確な数値を求められるため、社内での人事管理や勤怠管理の精度が直接影響します。
さらに、雇用義務数を満たしていない場合には「障害者雇用納付金制度」に基づき、1人不足につき月額5万円(常用労働者100人超の企業の場合)の納付義務が生じます。これは大きな負担になるため、早めの対応が重要です。

士業としての支援内容

社会保険労務士や行政書士は、障害者雇用に関する制度理解や報告書類の作成、適用判断のサポートを行っています。特に、算入の可否が微妙なケースや、合理的配慮の提供が必要な場合には専門家の助言が有効です。また、助成金の活用支援も大きなポイントです。障害者を雇用した企業には設備改善や職場定着支援に対する助成金制度があり、適切に活用すれば企業負担を軽減できます。

まとめ

法定雇用率は「常用労働者数 × 法定雇用率」で必要人数を算出するシンプルな計算ですが、実際には常用労働者の範囲や障害者のカウント方法に細かなルールがあります。
誤解や計算ミスがあると行政からの指導や納付金の負担につながりかねません。自社の雇用状況を正しく把握し、専門家に相談しながら安定的に制度を活用することが安心につながります。障害者雇用は法令遵守のためだけでなく、多様な人材活用のチャンスでもあるため、積極的に取り組むことをおすすめします。

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