労務経営ブログ

障害者手帳の種類と企業が確認すべきポイントとは?雇用と支援に活かす基礎知識

企業が障害者雇用を推進する中で、理解しておくべき基本事項の一つが「障害者手帳」です。障害者手帳は、障害のある方が福祉サービスや各種支援を受けるための重要な証明書であり、企業としても法定雇用率の達成や助成金申請の際に確認が求められます。本記事では、障害者手帳の種類や内容、そして企業が確認すべきポイントについて、社会保険労務士や行政書士の視点を交えてわかりやすく解説します。

障害者手帳の概要とその目的

障害者手帳とは、障害のある人が障害者として公的に認定される証明書です。この手帳を所持することで、障害者本人は医療費の助成、税制上の優遇措置、交通機関の割引、就労支援など様々な福祉サービスを受けられるようになります。企業にとっても、雇用する際にこの手帳の提示を受けることで、法定雇用率の算定対象としてカウントすることが可能です。

障害者手帳の3つの種類

日本における障害者手帳は、以下の3種類に分類されます。

1. 身体障害者手帳:身体機能に一定の障害がある方を対象に交付されます。等級は1級から6級まであり、等級が低いほど障害の程度は重くなります。
2. 療育手帳:知的障害のある方を対象とする手帳で、自治体によっては呼称が異なる場合もあります(例:愛の手帳、みどりの手帳など)。判定区分は「A(重度)」および「B(中軽度)」に分かれるのが一般的です。
3. 精神障害者保健福祉手帳:精神障害(統合失調症、うつ病、発達障害など)のある方を対象に交付され、1級から3級までの等級があります。

これらの手帳は、それぞれ所管する法律も異なり、交付元や更新手続きも異なります。企業はそれぞれの特徴を理解しておく必要があります。

企業が確認すべきポイント

企業が障害者手帳に関連して確認すべきポイントは以下の通りです。

第一に、雇用時に本人から障害者手帳の提示を受けたかどうかです。提示を受けなければ法定雇用率に算入できないため、手帳の写しを取得しておくことが望ましいです。

第二に、障害の内容と配慮事項の確認です。手帳自体には具体的な配慮事項は記載されていませんが、面接や医師の意見書、支援機関との連携を通じて、業務上必要な配慮内容を把握しておくことが重要です。

第三に、手帳の有効期限と更新状況です。特に精神障害者保健福祉手帳は2年ごとの更新が必要であり、有効期限切れのままだと法定雇用率の対象から外れてしまうことがあります。定期的な確認体制の構築が求められます。

士業としての支援の役割

社会保険労務士や行政書士は、障害者雇用に関するアドバイスや書類作成、助成金申請のサポートなど、企業と障害者の橋渡しとして重要な役割を果たします。特に助成金制度の活用にあたっては、手帳の種類や等級によって支給対象となる制度が異なるため、専門家の助言が不可欠です。また、雇用契約書や就業規則の整備においても、障害者への合理的配慮の観点を取り入れることが求められます。

まとめ:障害者手帳の理解は雇用の第一歩

障害者手帳は、単なる「証明書」ではなく、企業が障害者雇用を適切に行うための重要な情報源です。種類や等級、有効期限、配慮事項などを正確に把握し、適切に対応することが、円滑な職場環境の構築と企業の社会的責任の遂行につながります。不明点がある場合は、社労士や行政書士などの専門家に早めに相談し、実務に即した対応を心がけましょう。

お気軽にお問い合わせください お問い合わせはこちら
無料相談実施中 03 - 5822 - 6090(平日 9 時~ 17 時) お問合せフォーム

東京介護事業所サポートセンター

社会保険労務士法人
  東京中央エルファロ
〒110-0016
東京都台東区台東3-7-8
第7江波戸ビル301号室
TEL :03-5812-4245
FAX :03-5812-4246