労務経営ブログ
【Job総研調査】人事評価に不満69.6%!「努力報われない」が招く人材流出|中小企業が今すぐ始めるべき評価制度改革
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1. 衝撃のデータ:7割が人事評価に不満、そのまま転職へ
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パーソルキャリアのJob総研が実施した「2025年 人事評価の実態調査」(有効回答数391人)で、人事評価制度の深刻な問題が明らかになりました。
【衝撃の調査結果】
▼ 人事評価に不満を感じた経験:69.6%が「ある派」
▼ 昇格昇給を待つより「転職」を選ぶ:69.0%
▼ 人事評価で転職を考えた経験:65.5%
▼ そのうち実際に転職した:51.6%
つまり、約7割の従業員が人事評価に不満を持ち、約7割が転職を選択肢として考え、転職を検討した人の半数以上が既に転職しているという極めて深刻な状況です。
さらに注目すべきは、自己評価と人事評価にギャップがあったと回答した人が63.8%、評価結果に「納得していない派」が40.9%という事実です。
この数字が示すのは、人事評価制度の改善が「待ったなし」の経営課題だということです。特に人材確保が困難な中小企業にとって、評価への不満による人材流出は致命的です。
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2. 「アピール疲れ」の実態:成果より評価重視の歪んだ構造
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調査で最も衝撃的だったのは、「アピール」に関するデータです。
【人事評価のために普段行っていること】
• 上司の意向に積極的に従う:29.9%
• 上司へのアピールを増やす:27.6%
• 資料などを丁寧に作成する:23.0%
そして、評価のためにアピールを「する派」が58.6%と過半数を占めています。
さらに驚くべきことに、82.1%が「アピールは評価に活きている」と実感しており、つまり「成果を出すこと」よりも「評価されやすい行動をすること」が重要だと認識されているのです。
【アピールによる負の影響】
• アピール疲れを感じる:32.3%
• 精神的に消耗する:28.4%
• 無駄な仕事が増える:27.1%
本来の業務(顧客への価値提供、売上向上、業務改善)よりも、「上司に評価されるための行動(忖度、資料の体裁、報告の頻度)」が優先される状況が生まれています。
これは組織全体の生産性を下げ、本当に重要な業務がおろそかになるリスクをはらんでいます。
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3. 従業員が不満を感じる5つの理由
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調査の自由記述コメントから、従業員の本音が浮き彫りになりました。
【理由1:努力が報われない】
「どれだけ頑張っても評価されない」「成果を出しているのに評価が低い」という声が多数。特に、数値化しにくい業務(チームのサポート、後輩指導、業務改善)が評価されにくい傾向があります。
【理由2:不公平な評価への不満】
「上司のえこひいきがひどい」「同じ成果でも評価が違う」「評価基準が人によって違う」。評価の公平性に対する不信感は非常に強く、「頑張っても無駄」という諦めモードに陥る従業員も少なくありません。
【理由3:上司の主観が強すぎる】
「上司の好き嫌いで評価が決まる」「見ているようで見ていない上司が多い」。評価が上司一人の主観に偏りすぎていることへの不満が目立ちます。
【理由4:評価基準が不透明】
「何をすれば評価されるのかわからない」「評価基準が明確でない」「後出しジャンケンのように評価される」。目指すべき方向が不明確なため、モチベーションが上がらないのです。
【理由5:フィードバックが不十分】
「なぜその評価なのか説明がない」「評価面談が形式的」「改善点を具体的に教えてくれない」。評価結果だけを伝えられ、「なぜ」「どう改善すべきか」が不明確なため、納得感が得られません。
これら5つの不満は、評価制度の「透明性」「公平性」「対話」の欠如から生まれています。
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4. AIによる評価への期待と不安:従業員が本当に求めているもの
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近年、AIによる人事評価を導入する企業が増えています。調査では、AIによる評価に対する従業員の意識も明らかになりました。
【AIによる評価で期待する点】
• 公平で客観的な判断:48.3%
• 上司の主観を減らす:45.8%
• 評価基準の透明性:35.5%
約半数が、AIの「公平性」「客観性」に期待を寄せています。上司の主観や好き嫌いに左右されず、事実ベースで評価されることへの強い期待が読み取れます。
【AIによる評価で不安な点】
• AIに誤った解釈をされる:38.1%
• 努力や工夫が評価されない:37.1%
• 偏ったデータに左右される:36.3%
一方で、AIの「誤解」「努力の見落とし」「データの偏り」への不安も強く存在します。
【従業員の本音:自由記述コメントより】
期待する声:
「人間に評価させると好き嫌いが入り込むため、AIと併用するのが望ましい」
「見ているようで見てない上司が多かった。AIの方が良いと思う」
不安な声:
「AIによる評価は攻略法のようなものが生まれてしまう」
「モチベーションを上げることをAIに今の時点では出来るとは考え辛い」
【結論】
AIによる人事評価に「不安がある派」が51.2%、評価者として「上司派」を希望する人が68.7%という結果から、従業員が求めているのは:
✓ AIの「客観性」と「透明性」
✓ 人間の「温かみ」と「文脈理解」
**両方のハイブリッド**だということが分かります。
AIで客観的なデータを収集・分析しつつも、最終的な評価と丁寧なフィードバックは人間(上司)が行う。このバランスが、これからの人事評価制度には求められます。
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5. 中小企業が今すぐ実践すべき評価制度改革5ステップ
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調査結果を踏まえ、中小企業が今すぐ取り組むべき評価制度改革を5ステップで解説します。
【ステップ1:評価基準の明文化と開示】
まず最優先で取り組むべきは、「何をすれば評価されるのか」を明確にすることです。
具体的な実践方法:
• 評価項目を具体的に列挙(業績、スキル、行動、貢献度など)
• 各項目の配点・ウェイトを明示
• 評価レベルの具体例を記載(S評価とはどういう状態か等)
• 全従業員に開示し、説明会を実施
ポイント:完璧な基準を作る必要はありません。「何が評価されるのか」が従業員に伝わることが重要です。
【ステップ2:自己評価とのすり合わせプロセスの導入】
評価前に、自己評価と上司評価のギャップを確認する面談を実施します。
具体的な実践方法:
• 評価期間の中間地点で面談実施
• 従業員の自己評価を聞く
• 上司の現時点での評価を伝える
• ギャップがあれば、その理由を説明
• 期末までに何を改善すべきか具体的にアドバイス
ポイント:評価確定後にギャップを知るのではなく、期間中に認識を合わせることで、納得感が高まります。
【ステップ3:複数視点での評価(360度評価の簡易版)】
上司一人の主観を減らすため、複数の視点を取り入れます。
具体的な実践方法:
• 直属上司以外に、別の上司や同僚からも評価をもらう
• 顧客満足度や他部署からのフィードバックも考慮
• 最終評価の前に、複数の管理職で評価会議を実施
ポイント:中小企業では完全な360度評価は難しくても、「上司一人だけの判断ではない」という仕組みを作ることが重要です。
【ステップ4:フィードバック面談の質向上】
評価結果を伝えるだけでなく、丁寧なフィードバックを行います。
具体的な実践方法:
• 評価面談に十分な時間を確保(最低30分〜1時間)
• まず本人の自己評価を聞く
• 会社評価との違いがあれば、具体的な事例を挙げて説明
• 良かった点を必ず伝える(ポジティブフィードバック)
• 改善点は具体的な行動レベルで提示
• 次期の目標設定を一緒に行う
ポイント:「なぜその評価なのか」を丁寧に説明することで、たとえ評価が低くても納得感が生まれます。
【ステップ5:評価者(上司)研修の実施】
どんなに良い評価制度を作っても、評価者である上司のスキルが低ければ機能しません。
研修内容の例:
• 評価基準の正しい理解
• 評価エラー(ハロー効果、中心化傾向など)の学習
• フィードバック面談のロールプレイング
• 評価事例の検討(ケーススタディ)
ポイント:年1回、半日程度の研修でも効果があります。中小企業こそ、評価者向けの研修が重要です。
【今日からできる3つのアクション】
1. 従業員に「評価制度への満足度」をアンケートで聞く
2. 評価基準を文書化し、全従業員に開示する日程を決める
3. 次回の評価面談の時間を通常の2倍確保する
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6. まとめ:人事評価改革は最優先の経営課題
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Job総研の調査が示したのは、人事評価制度の不備が、優秀な人材の流出に直結しているという厳しい現実です。
【この記事のポイント】
✓ 人事評価に不満を持つ従業員は69.6%
✓ 評価への不満は転職に直結(転職検討65.5%、実際に転職51.6%)
✓ 「アピール疲れ」が生産性を下げている
✓ 従業員が求めているのは「透明性」「公平性」「対話」
✓ AIの客観性と人間の温かみのハイブリッドが理想
【評価制度改革がもたらす3つの効果】
1. 人材流出の防止
評価への納得感が高まることで、優秀な人材の定着率が向上します。
2. 従業員エンゲージメントの向上
「会社が自分を正当に評価してくれる」という信頼が、働きがいを高めます。
3. 組織の生産性向上
「アピール」ではなく「成果」に集中できる環境が、本来の業務の質を高めます。
【最後に】
完璧な評価制度を目指す必要はありません。
大切なのは、「会社は従業員を正当に評価しようと努力している」という姿勢を示すことです。
その姿勢が、従業員の信頼を生み、組織を強くします。
人事評価改革は、待ったなしの経営課題です。優秀な人材を失う前に、今日から一歩を踏み出しましょう。
2023年の調査では人事評価に不満を持つ人は8割でしたが、2025年は69.6%と若干減少しています。しかし、転職率は微増しており、「不満を持ったら我慢せず転職する」という行動パターンが強まっています。
つまり、評価制度改革に取り組む企業と、放置する企業の差が、人材確保の明暗を分けているのです。
人事労務の専門家として、貴社の実情に合わせた評価制度改革をサポートいたします。お気軽にご相談ください。
従業員の「納得感」が、会社の未来を変える。
【参考資料】
• Job総研「2025年 人事評価の実態調査」
• Job総研「2023年 人事評価の実態調査」
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