労務経営ブログ

障害者雇用の意義とメリット

社会保険労務士の若林忠旨です。私は一型糖尿病と慢性腎不全による週3回の人工透析療法をして生活をしています。過去に10年ほど、2社の障害者雇用枠で勤務をした経験もあり、その経験を生かした障害者雇用サポートも行っています。
今回から毎週、障害者雇用について情報発信をしていきたいと思います。

障害者雇用は社会全体の包摂と持続可能な経済の実現に寄与します。障害者が働くことは、自立と社会参加の機会を提供し、企業にとっても多様な視点を取り入れる機会となります。また、障害者雇用は企業の社会的責任(CSR)を果たす手段として、企業イメージの向上にも繋がります。

日本では、障害者雇用促進法に基づき、2024年4月より従業員が40.0人以上の企業には、障害者を2.5%以上雇用する義務があります。これにより、障害者が公平な労働機会を得られるよう努めています。企業は毎年6月1日時点の障害者雇用状況を公共職業安定所に報告する義務があります。

障害者雇用についてはまだまだ「負担」と考える中小企業が多いのが実態だと思います。実際に法定雇用率を達成している企業は近年増加の傾向となっていますが、まだまだ未達成であり納付金を収める企業が多いのが実態となります。
しかし、視点を変えてみると次のようなメリットも考えられます。
障害者雇用は職場に多様な視点をもたらし、創造的な問題解決や新しいビジネスチャンスの発見に繋がったという感想を得られる例が多いです。いわゆる。「多様性とイノベーションの推進」に繋がる例となります。また、社会的責任を果たす企業としての評価を高める一助とも考えられます。消費者マインドや取引先からの信頼構築の手助けとも考えられます。もちろん、あからさまな宣伝広告は逆効果になりかねませんが、うまくHPなどで採用実績や活躍をアピールすることはさまざまな面での好印象効果が考えられます。
さらに、障害者雇用を進めるためには、包摂的な職場環境を考えたり、勤務制度の運営など障害者が勤務を継続しやすくするために考えたりすることに繋がります。こういったことは、他の従業員が口にできない不満点の解消に役立ったり、「自分になにかあったとしても会社は考えてくれるんだ」といった信頼構築に繋がることもあります。最近は、ハラスメントを始め企業はさまざまな視点で従業員の労働環境を考える必要があり、こうした視点が全ての従業員にとって働きやすい環境を作り出し、士気やモチベーションの向上に寄与に繋がることにもなります。

最後に障害者雇用の簡単なポイントを挙げてみます。
①適切な配慮を考える
障害者がその能力を最大限に発揮できるよう、合理的配慮を提供することが重要です。例えば、バリアフリーなオフィス環境の整備や、適切な業務の割り当てが挙げられます
②職業リハビリテーション
障害者が自立して働けるようにするための職業訓練やジョブコーチの活用も有効です。障害者雇用が上手くいっている企業は外部の専門家への必要なサポートなどを得ていることが多いです。
③教育と啓発
障害者雇用を進めるうえで特に大事なことは、障害者本人への対応よりも配属される箇所の理解とも言えます。実際に障害者雇用枠で働いた経験がありますが、周りがよそよそしかったり、「お客さん」のようにされるとこちらも馴染むことが出来ずに孤独感が強まります。また、「何をすればいいのか?」、「わからないことは聞いてもいいのか?」など働きずらい環境にも繋がります。これは同僚にもあてはまります。「仕事を指示していいのか?」、「どう接すれがいいのか?」、「どんな配慮をすればいいのか?」など、周りの不安感に繋がるのです。
こういったことを改善するために、社内での障害者理解を深めるための教育や研修を定期的に実施することが求められます。これにより、障害者と共に働くことへの抵抗感を減らし、スムーズな職場環境を作り出します。過去に障害者雇用をして上手くいかなかった企業はこの点も再検討してみることをお勧めします。

今回は、障害者雇用の基本的な考えについて書かせてもらいました。障害者雇用を進めたい!、障害者雇用をしているがうまくいかな、などお困りのことがあればお力になれるとおもいますので、ぜひご連絡ください。

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