労務経営ブログ
テレワーク継続のメリットとデメリット
新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけに、多くの企業が導入したテレワーク。しかし、社会が通常の状態へと戻る中で、テレワークを継続するか、あるいは出社勤務へ完全に回帰するかを判断する企業が増えています。テレワークには企業にとって多くのメリットがありますが、一方で、管理の難しさや生産性の問題といったデメリットも無視できません。本記事では、企業側の視点から見たテレワークのメリットとデメリットを詳しく解説し、今後の働き方の方向性について考えていきます。
〇企業側の視点から見たメリット・デメリット
テレワークは、従業員だけでなく企業にとってもさまざまな影響をもたらします。特に、コスト削減や柔軟な働き方の実現といったメリットがある一方で、労務管理やコミュニケーションの課題も浮き彫りになっています。
【メリット】企業にとってのテレワークの利点
1.通勤コストの削減
テレワークを導入することで、企業は通勤手当や交通費の負担を軽減できます。特に、関東近県の企業では、東京都心への通勤に高額な交通費がかかるケースが多く、従業員一人あたりの通勤費は年間数十万円にのぼることも珍しくありません。
また、従業員が長時間の通勤を避けられることで、通勤による疲労が軽減し、仕事のパフォーマンス向上にもつながる可能性があります。
2.柔軟な働き方の提供による従業員満足度の向上
テレワークを導入することで、従業員は仕事と家庭のバランスを取りやすくなります。特に、育児や介護を担う従業員にとっては、在宅で業務を行えることが大きなメリットとなります。
また、働き方の選択肢が増えることで、従業員のモチベーション向上やエンゲージメントの強化にもつながります。企業としても、従業員の定着率を高めることができ、人材流出を防ぐ効果が期待できます。
3.採用市場の拡大と優秀な人材の確保
テレワークが可能な環境を整えることで、企業は地理的な制約を超えて優秀な人材を採用できるようになります。例えば、関東圏の企業が地方在住の優秀なエンジニアやデザイナーを採用することが可能になります。
特に、IT業界や専門職の分野では、リモートワークを許可することで応募者の幅が広がり、より優秀な人材を確保しやすくなるでしょう。また、テレワークを採用の条件として打ち出すことで、企業の魅力を高める効果もあります。
【デメリット】テレワークによる課題とリスク
1.労務管理の難しさ
テレワークでは、従業員がどのように仕事をしているのかを直接確認することが難しくなります。そのため、労働時間の管理や業務の進捗把握が課題となります。
特に、日本の労働基準法では、企業は従業員の労働時間を適切に管理する義務があります。しかし、テレワーク環境では「労働時間の自己申告制」や「フレックスタイム制」を導入する企業も多く、従業員が適切に勤務しているかを確認するのが難しくなる傾向があります。
また、長時間労働の問題も発生しやすく、プライベートと仕事の境界が曖昧になることで、従業員が過度に働きすぎるリスクもあります。
2.コミュニケーション不足の問題
テレワークでは、従業員同士のコミュニケーションが希薄になりがちです。オフィス勤務では、業務の合間に自然と生まれる雑談や情報共有が、チームの結束力を高める役割を果たしていました。しかし、リモートワークではそのような機会が減少し、チームワークの低下につながることがあります。特に、新入社員や若手社員にとっては、先輩や上司との関係を築きにくくなり、指導や相談がしづらくなる問題があります。また、オンラインミーティングが増えることで、必要以上に会議が長引き、逆に業務効率が下がるケースもあります。
3.生産性の低下リスク
テレワーク環境では、従業員がどれだけ効率的に仕事を進めているかを把握するのが難しくなります。自宅では集中力が途切れやすく、業務の生産性が低下する可能性があります。
また、従業員の自己管理能力に依存する部分が大きいため、個々のパフォーマンスにばらつきが出ることもあります。特に、タスク管理やスケジュール管理が苦手な従業員にとっては、リモートワークが逆に負担となることもあります。
さらに、企業によっては、テレワークの導入に伴い「成果主義」を強める傾向がありますが、これが従業員のストレスを増大させ、離職につながるリスクもあります。
〇テレワークは企業にとって本当に必要か?
テレワークは、企業にとって多くのメリットをもたらしますが、一方で管理面やコミュニケーション面の課題も存在します。特に、「完全テレワーク」か「完全出社」かを選ぶのではなく、「ハイブリッドワーク(テレワークと出社の併用)」が現実的な選択肢となるでしょう。例えば、「週2回は出社し、その他はテレワーク」「職種ごとにテレワーク可否を決定する」といった柔軟な制度を採用する企業が増えています。
また、テレワークを継続する場合、勤怠管理ツールの導入や評価制度の見直しを行い、公平な評価ができる環境を整えることが重要です。企業としては、自社の業務内容や従業員のニーズを踏まえながら、最適な働き方を選択していくことが求められます。