労務経営ブログ
従業員側の視点から見たテレワークのメリット・デメリット
テレワークは、企業にとってコスト削減や人材確保といったメリットがありますが、従業員にとっても多くの利点があります。一方で、テレワーク特有の課題もあり、すべての従業員にとって最適な働き方とは限りません。ここでは、従業員の視点からテレワークのメリットとデメリットを整理し、どのような働き方が最適なのかを考えていきます。
〇【メリット】テレワークによる従業員の利点
1.通勤時間の削減
テレワーク最大のメリットの一つが、通勤時間の削減です。特に関東近県では、東京都心へ通勤する従業員が多く、片道1時間以上を費やしているケースも珍しくありません。
通勤時間を削減することで、以下のような効果が期待できます。
・肉体的・精神的な負担の軽減:満員電車でのストレスがなくなる
・自由な時間の増加:趣味や家族との時間が増え、生活の充実度が向上
・仕事の生産性向上:朝の疲労が減り、業務に集中しやすくなる
また、通勤時間がないことで、仕事の前後に家事や育児をこなす時間が増え、家庭との両立がしやすくなるという声も多く聞かれます。
2.ワークライフバランスの向上
テレワークは、働き方の柔軟性を高め、ワークライフバランスの向上につながります。オフィス勤務では「決まった時間に出社・退社する」というルールがあるため、日々のスケジュールを柔軟に調整するのが難しい場合があります。しかし、テレワークであれば、以下のようなメリットがあります。
・自分のペースで働ける:集中できる時間帯に業務をこなし、休憩も自由に取れる
・家庭との調整がしやすい:子どもの送り迎えや病院の通院など、必要な予定を組みやすい
・ストレスの軽減:職場の人間関係のストレスが減り、快適な環境で仕事ができる
このように、テレワークは従業員のライフスタイルに合わせた働き方を可能にし、より充実した生活を送ることができるのです。
3.育児や介護との両立がしやすい
特に、子育て中の従業員や家族の介護を担う人にとって、テレワークは大きな助けになります。
【育児との両立
・子どもが急に体調を崩した場合でも、仕事を続けながら対応できる
・保育園・幼稚園への送り迎えがしやすくなる
・在宅勤務中に子どもと過ごす時間が増え、家族との絆が深まる
【介護との両立】
・高齢の家族を見守りながら働くことができる
・通院や介護サービスのスケジュールを調整しやすい
・介護と仕事の両立による精神的・肉体的な負担が軽減される
このように、テレワークは従業員が個々のライフステージに合わせた働き方を実現しやすくなる大きなメリットがあります。
〇【デメリット】テレワークによる従業員の課題
1.孤独感・コミュニケーション不足
テレワークでは、同僚や上司と直接顔を合わせる機会が減るため、孤独感を感じる従業員も少なくありません。特に、一人暮らしの人にとっては、誰とも話さない日が続くこともあり、精神的な負担が増す可能性があります。
また、職場での雑談やランチの時間がなくなることで、「ちょっとした相談」がしづらくなり、仕事上の不安が増えることもあります。オンライン会議やチャットツールを活用しても、対面での会話と同じレベルのコミュニケーションを確保するのは難しいのが現状です。
2.キャリア形成の機会減少
テレワークでは、上司や先輩と直接話す機会が減り、キャリア形成のチャンスが減るリスクがあります。
・評価されにくい:目に見える働きぶりが減るため、成果をアピールしづらい
・成長の機会が減る:職場での偶発的な学び(OJTなど)が少なくなる
・昇進・昇給が遅れる可能性:上司との接点が少ないため、評価の対象になりにくい
特に、新入社員や若手社員にとっては、
「先輩から学ぶ機会が少ない」
「社内での人脈が作りにくい」
といった課題があり、今後のキャリアに影響を及ぼす可能性があります。
3.在宅環境の問題
テレワークをするためには、適切な作業環境が必要ですが、全員が快適な環境を整えられるわけではありません。
・自宅に仕事用のスペースがない:ワンルームや家族と同居している場合、仕事に集中できるスペースが確保しにくい
・設備が整っていない:パソコンやインターネット環境が不十分な場合、業務効率が低下する
・光熱費や通信費が増加する:自宅での電気代やインターネット代の負担が増える
企業によっては「テレワーク手当」を支給するケースもありますが、多くの従業員にとって在宅環境の整備は自己負担となるため、不公平感が生じることもあります。
〇テレワークは個人のライフスタイルに合った選択が重要
テレワークは、通勤時間の削減やワークライフバランスの向上、育児・介護との両立など、多くのメリットがあります。しかし、孤独感やキャリア形成の機会減少、在宅環境の問題といった課題も存在するため、必ずしもすべての従業員にとって最適な働き方とは限りません。
企業側としては、従業員がテレワークのメリットを最大限に活かせるよう、「ハイブリッドワーク(出社とテレワークの併用)」の導入や、適切な支援策の検討が求められます。
今後、テレワークが定着していく中で、個々の従業員が自身のライフスタイルに合った働き方を選べるような環境を整えていくことが、企業と従業員の双方にとって重要な課題となるでしょう。テレワークの急な廃止などにより、社内モチベーションの悪化などに直面している企業などは、ぜひ一緒に対策を考えてみませんか?