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解雇トラブルを防ぐために社労士ができること~企業が取るべき対策とは?~

解雇は企業にとって慎重に対応すべき問題です。不適切な解雇は、労働審判や訴訟に発展する可能性があり、企業の経営や評判に大きな影響を与えます。そのため、解雇を適正に進めるための事前準備やルール整備が重要になります。
このような場面で頼りになるのが、社会保険労務士(社労士)です。社労士は、労働法の専門家として、解雇手続きの適正化やトラブル予防のサポートを提供できます。今回は、社労士が解雇問題の予防にどのように貢献できるのか、具体的なサポート内容と事前相談の重要性について解説します。

〇解雇トラブルを防ぐために社労士ができること
解雇が法的に有効と認められるためには、「客観的に合理的な理由」と「社会通念上の相当性」の2つの条件を満たす必要があります。しかし、企業が独自に判断して解雇を進めると、これらの条件を満たしているかどうかの判断が曖昧になり、トラブルに発展するリスクが高まります。こうした問題を未然に防ぐために、社労士は以下のようなサポートを提供します。
1.解雇に関する法的チェックとアドバイス
解雇を行う際、企業が最も注意しなければならないのは法的な適正性です。社労士は、以下のような法的観点から解雇の適法性をチェックし、適正な解雇手続きをアドバイスします。
・就業規則や労働契約書に基づいた解雇の正当性の確認
・解雇の理由が「客観的に合理的」かどうかの判断
・過去の判例を参考にしたリスク分析と対応策の提案

例えば、「勤務態度が悪い」という理由で解雇を進めようとする場合、具体的な証拠(指導記録や業務成績のデータ)がなければ、不当解雇と判断される可能性が高いです。このようなケースでは、社労士が証拠の整備や適正な手続きをアドバイスし、企業のリスクを軽減します。

2.解雇に関する書類作成のサポート
解雇に関するトラブルを防ぐためには、適切な書類の準備が不可欠です。社労士は、以下のような書類の作成をサポートします。
・解雇通知書(解雇の理由や日付、法的根拠を明記)
・指導記録・注意書(過去の指導履歴を詳細に記録)
・退職勧奨に関する合意書(円満退職を促す場合)

例えば「解雇通知書の作成例(適正な書き方)」では、
・NG例:「勤務態度が悪いため、2024年3月31日をもって解雇とする。」
・OK例:「2023年10月から2024年2月にかけて、無断欠勤が5回、業務命令の不履行が3回確認され、2024年1月10日・20日に口頭注意、2月5日に書面で警告を行いましたが、改善が見られませんでした。貴殿の行為は就業規則第○条(服務規律違反)に該当するため、2024年3月31日をもって解雇とします。」

このように、曖昧な表現を避け、具体的な事実や就業規則の根拠を明記することで、解雇の適正性を確保できます。実際に問題社員の相談を受けると具体的な記録が曖昧であり、強引に進めると最近は問題社員側も弁護士に依頼することが多く、「解雇の有効性」の前に、「不当性」を問題視される例が増えています。

3.労働審判や裁判を防ぐための事前対策
万が一、解雇後に従業員から「不当解雇だ」と訴えられた場合、企業は未払い給与や慰謝料の支払いを求められる可能性があります。
そのような事態を防ぐために、社労士は以下の事前対策を提案します。
・解雇前に、従業員と十分な話し合いを行う
・退職勧奨を活用し、合意退職を目指す
・整理解雇の場合、解雇回避努力(希望退職募集・人件費削減)の実施

解雇の前に、従業員と納得のいく形で話し合いを行い、可能であれば合意退職に持ち込むことが重要です。社労士は、こうした交渉のサポートも行い、労働トラブルの回避に貢献します。

〇解雇に関する事前相談の重要性
1.早めの相談がトラブル回避のカギ
多くの企業は、解雇に関する問題が発生してから社労士に相談しますが、トラブルが起きる前に相談することが理想です。
解雇を検討する段階で社労士に相談することで、以下のメリットがあります。
・法的リスクを事前に把握できる
・必要な証拠や書類を整備できる
・労働者との円満な解決策を見つけやすい

2.「突然の解雇は避けるべき」
労働者にとって、突然の解雇は納得しにくいものです。段階的な指導や事前の話し合いを通じて、スムーズな解雇手続きを進めることが企業にとっても有利になります。

〇社労士のサポートで解雇リスクを最小限に
解雇は慎重に行う必要があり、社労士のサポートを活用することで、企業のリスクを最小限に抑えることが可能です。
・解雇の適法性をチェックし、リスクを把握する
・解雇通知書や指導記録などの書類を適切に整備する
・労働審判や裁判を防ぐための事前対策を実施する
・解雇の前に社労士へ相談し、適正な手続きを進める

解雇に関するトラブルを防ぐためには、専門家の助言を受けながら慎重に進めることが不可欠です。解雇の検討段階で不安がある場合は、ぜひ社会保険労務士(社労士)にご相談ください!

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