労務経営ブログ障害者雇用・両立支援研修会

障害者雇用に取り組む上での注意点と心構え

障害者雇用に取り組む企業にとって、成功の鍵となるのは、単に法令を守るだけではなく、社内全体が障害者雇用に前向きに取り組む体制を整えることです。
東京都近県の企業でも、「やむを得ず」ではなく「積極的に」障害者雇用を推進した結果、社内の雰囲気が良くなり、組織力向上に繋がった例が数多くあります。

ここでは、障害者雇用に取り組む際に企業が押さえておくべき「注意点」と、担当者や管理職に求められる「心構え」について詳しく解説します。

〇法令遵守だけでなく「社内理解」の重要性
1.法令遵守はスタート地点にすぎない
障害者雇用促進法により、従業員40.0人以上の事業主には障害者の雇用義務が課せられています。違反すれば、障害者雇用納付金制度による負担が生じたり、行政指導を受けたりするリスクもあります。

しかし、法令を「守ること」だけを目的にした障害者雇用では、職場に摩擦が生じやすくなります。
採用しても、現場が「仕方なく受け入れている」という雰囲気では、障害者本人も働きにくく、周囲もストレスを感じやすくなります。その結果、早期離職につながるリスクが高まり、企業側にとっても「結局負担だけが増えた」という結果に陥りかねません。

障害者雇用を成功させるためには、「法令遵守は当然として、社内の理解と協力を得ることが不可欠」なのです。

2.社内理解を深めるための取り組み
社内の理解を深めるためには、以下のような取り組みが効果的です。

(1)障害理解研修の実施
障害の種類や特性について基本的な知識を共有し、適切な接し方、合理的配慮の考え方を学びます。
・成功事例の共有
他社の成功事例や、社内で実際にうまくいっているケースを紹介することで、障害者雇用のイメージをポジティブに変えていきます。

・現場リーダーとの事前打ち合わせ
障害者雇用を担当する部署やリーダー層と十分なすり合わせを行い、不安や疑問をあらかじめ解消しておきます。

・フォローアップ体制の整備
配属後も、定期的な面談や相談窓口を設けることで、現場で問題が起きた際にすぐ対応できる体制を整えます。

このような取り組みによって、障害者本人だけでなく、周囲の社員にとっても働きやすい職場が実現します。
つまり、障害者雇用をきっかけに「より良い職場づくり」が進むという好循環を生み出すことができるのです。

〇よくある質問と現場での対応策(社労士視点)
障害者雇用を進める中で、企業担当者から寄せられる「よくある質問」と、それに対する社労士視点での具体的な対応策をご紹介します。

Q1:どんな配慮をすればいいの?負担が大きくならないか心配です。
【対応策】
「配慮」と聞くと特別な対応が必要と思いがちですが、多くの場合、「少しの工夫で十分」です。

例:
・業務指示を文書化してわかりやすくする
・勤務時間や休憩時間を柔軟に調整する
・コミュニケーション方法(口頭+メモ、チャット併用)を工夫する

過剰な配慮をする必要はなく、「業務遂行上、合理的な範囲で配慮する」ことが基本です。
また、何が必要かは本人との面談で確認できるため、最初からすべてを完璧に準備する必要はありません。

・Q2:業務に支障が出た場合はどう対応すればいいですか?
【対応策】
障害者であっても、「就業規則に基づいて対応する」のが原則です。特別扱いせず、業務の進め方や成果に課題がある場合は、他の社員と同様に指導・育成を行います。

ただし、問題の背景に障害特性が関係している場合もあるため、社労士など専門家に相談しながら対応方針を検討するのが安心です。

具体例:
・注意指導の内容を記録に残す
・産業医や支援機関と連携して改善策を講じる
・必要に応じて配置転換や業務内容見直しも検討

トラブルを恐れすぎず、「適切な記録と相談体制を整えておくこと」が重要です。

・Q3:定着支援はどうすればいいですか?
【対応策】
障害者雇用は、採用後のフォローが非常に重要です。
以下のようなステップを取り入れることで、定着率は大きく向上します。
・配属後1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月ごとに面談を実施
・不安や問題点を本人・上司双方からヒアリング
・必要に応じて業務の調整や支援策の見直し
・就労移行支援事業所やジョブコーチ支援を活用

特に東京都近県では、地域障害者職業センターなどの公的支援機関が定着支援を行っているため、これらを積極的に利用することも効果的です。

・社労士からのアドバイス
障害者雇用に完璧を求める必要はありません。
大切なのは、「小さな工夫を積み重ねること」と「困ったらすぐ相談できる体制を整えること」です。

社会保険労務士は、企業と障害者、双方にとってより良い関係づくりを支援する専門家です。
最初は不安があって当然。ですが、正しい知識と支援を得ながら一歩ずつ進めれば、障害者雇用は必ず成功につながります。

〇まとめ
障害者雇用に取り組む際は、法令遵守だけではなく、「社内理解を深めること」が不可欠です。
また、現場の「よくある不安」に対しては、過度に恐れることなく、具体的な対応策を講じていくことがポイントです。

東京都近県でも、障害者雇用を通じて組織力を高めた企業は少なくありません。
小さな成功体験を積み重ね、働きやすい職場づくりを進める――それが、障害者雇用成功への近道です。

もし障害者雇用について悩みがあれば、ぜひ社会保険労務士にご相談ください。
あなたの企業に合った最適な道筋を、一緒に見つけていきましょう。

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