労務経営ブログ

「人が採れない」のは求人の問題じゃない──60代が“5倍”動いている今、人事が見落としている真実

あなたの会社で、60歳以上の応募者が”ゼロ”だとしたら――
それは「人がいない」のではなく、「人が来ない求人」なのかもしれません。

こんにちは、若林忠旨です。
社会保険労務士として、企業の採用・教育・監査の現場に20年以上関わってきました。

最近、シニア層の就職希望者が”コロナ前の5倍”に増加しているというデータが出ました。
かつては“定年後の小遣い稼ぎ”が主流だった60代以上の求職者が、いまや「やりがい」や「面白さ」を求めて再挑戦する時代になっています。

旅館業、農業、マンション管理、バーテンダー……。未経験からでも再スタートを切る60代たち。
「そんな業界だからできる話でしょ」と思いましたか?

……それこそが、中小企業の人事部が変えなければならない“思い込み”です。

【シニア人材は「余剰戦力」ではなく、戦略人材】

これまで多くの企業が、定年後の再雇用を「福利厚生」扱いしてきました。
しかし、今やそれは“経営リスク”です。

なぜなら――

* 若手よりも定着率が高く、
* 経験に基づく判断力・常識力があり、
* そして「フルタイム以外」でも戦力になる柔軟さを持つ

そんな存在を活かせない会社は、やがて人材の流動化に取り残されるから。

【人事部がいますぐ取るべき、3つの現実的アクション】

① 職務を“解像度高く”分解する
→ 「誰でもできる仕事」は存在しません。業務を棚卸し、シニアに最適化された職域を設計するところから始まる。

② 「若い方がいい」という神話を、社内で解体する
→ 採用面接や評価指標が“年齢バイアス”に支配されていませんか?
今求められるのは、**価値観・姿勢・相互理解**を軸としたマッチングです。

③ “短時間×高密度”な働き方を標準設計にする
→ シニア採用の成否は、「余った時間に来てもらう」ではなく、「戦略的に時間設計できるか」で決まります。

私が支援している企業の中には、シニア雇用を転機に、
“若手の定着率まで改善した”事例もあります。
“経験の厚み”は、現場に静かな安心感をもたらすのです。

シニア雇用は、人手不足の対症療法ではありません。
組織の多様性・安定性を支える、中長期の処方箋です。

だからこそ私は、「人が来ない」ではなく「来たくなる組織か?」という問いを、人事部に突きつけたい。

求人票、見直してみませんか?
貴社の“常識”を、今一度、疑ってみるところから。

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若林 忠旨
社会保険労務士法人東京中央エルファロ 代表
人事戦略・監査・教育研修を通じて、理想の組織づくりを支援しています

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