労務経営ブログ
【GPTW2026】全部門で日系企業が1位!「働きがいのある会社」ランキングが示す”福利厚生より大切なもの”|中小企業が学ぶべき2つの成功法則
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“制度充実”だけでは働きがいは生まれない
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「うちも在宅勤務を導入したのに、なぜ離職率が下がらないんだろう?」
「福利厚生を充実させたのに、社員のモチベーションが上がらない…」
そんな悩みを抱える経営者・人事担当者の方は少なくありません。
2026年2月6日、Great Place To Work® Japan(GPTW Japan)が発表した「働きがいのある会社」ランキングベスト100は、その答えを明確に示しています。
「制度の充実度」よりも「経営の質」と「仕事を楽しむ文化」こそが、働きがいを決定づける
今回のランキングでは、大規模・中規模・小規模の全部門で日系企業が1位を獲得。特に大規模部門での日系企業トップは2017年以来9年ぶりという快挙です。
本記事では、683社が参加した今回の調査結果から、中小企業が今日から実践できる「本当に効く」エンゲージメント施策を徹底解説します。
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1. 2026年版ランキング結果|全部門で日系企業が制覇
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■ランキング概要
・調査主体:Great Place To Work® Institute Japan
・参加企業数:683社
・歴史:2007年開始、今回で20回目
・位置づけ:日本最大級の従業員エンゲージメント評価
■各部門の1位企業
・ 大規模部門(従業員1,000人以上)
ディスコ(半導体製造装置メーカー)
・昨年4位から躍進
・日系企業の大規模部門1位は2017年以来9年ぶり
トップ5:
1. ディスコ(製造・生産)
2. Cisco(情報技術)
3. セールスフォース・ジャパン(情報技術)
4. Hilton(ホスピタリティ)
5. ラクス(情報技術)
・中規模部門(従業員100~999人)
ナハト(インターネット広告代理店)
・昨年11位から大躍進
トップ5:
1. ナハト(広告・マーケティング)
2. フロンティアホールディングス(不動産)
3. アチーブメント(教育・研修)
4. グロービス(教育・研修)
5. テックタッチ(情報技術)
・小規模部門(従業員25~99人)
イベント21(イベント企画運営)
・昨年4位から1位へ
・前回記事でご紹介した「16年連続赤字から復活」の企業
トップ5:
1. イベント21(その他)
2. あつまる(広告&マーケティング)
3. KINGSMAN TOKYO(小売)
4. Legaseed(その他)
5. 三条工務店(不動産)
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2. データが証明|働きがいを生む2つの要素
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GPTW Japanの分析により、ベスト100企業と他企業の間で統計的に有意な差が見られた項目が明らかになりました。
【要素1】「従業員が仕事に行くことを楽しみにしている」
・ベスト100企業で最も顕著だった特徴
・企業規模を問わず共通
・他企業との差が統計的に有意
〇なぜ「楽しみ」が重要なのか?
・内発的モチベーション(自ら進んで働く意欲)が高い
・離職率が低く、定着率が向上
・顧客対応の質が上がり、業績向上につながる
【要素2】「経営能力に関連する要素」
具体的には:
・適材適所の人材マネジメント
・経営層の言行一致
・経営判断の質の高さ
GPTW Japanは、「経営の質こそが、従業員の高い働きがいを生む要因」と分析しています。
〇意外な発見:福利厚生では差が小さい
休暇制度や多様性への配慮など、いわゆる「福利厚生制度」に関する項目では、ベスト企業と他企業の差は小さかったそうです。
つまり、
❌「豪華なオフィス」「手厚い福利厚生」←差が出にくい
⭕「経営の質」「仕事を楽しむ文化」←決定的な差
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3. 中小企業が誤解しがちな3つの”働きがい神話”
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今回の調査結果は、多くの中小企業が抱く「働きがいの誤解」を正してくれます。
【神話1】「働きがい=高給与・高待遇」
❌ 誤解:「うちは給与が高くないから働きがいを高められない」
⭕ 真実:給与や福利厚生よりも「経営の質」と「楽しむ文化」が重要
【神話2】「働きがい=大企業の特権」
❌ 誤解:「資金力のある大企業だけが実現できる」
⭕ 真実:小規模部門1位のイベント21は、かつて16年連続赤字だった
【神話3】「働きがい=制度の充実度」
❌ 誤解:「在宅勤務やフレックスを導入すればOK」
⭕ 真実:制度よりも「経営者の姿勢」と「職場の雰囲気」が決め手
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4. ベスト100企業の共通施策|「経営の質」を高める5つのポイント
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では、具体的にどうすれば「経営の質」を高められるのでしょうか?
【ポイント1】経営理念の”実践”を最優先する
・理念を額に飾るだけでなく、日々の意思決定に反映
・会議で「この判断は理念に沿っているか?」を必ず確認
・社員が「経営者は本気だ」と実感できる行動を積み重ねる
【ポイント2】適材適所を”科学”する
・年1回の面談ではなく、月1回の1on1で継続的にヒアリング
・社員の強み・弱み・希望をデータ化
・配置転換や役割変更を柔軟に実施
・「この仕事、あなたに合っていないかも」と率直に伝える勇気
【ポイント3】経営層の”言行一致”を徹底する
・「社員第一」と言いながら、利益優先していないか?
・朝礼で語った約束を、期限内に必ず実行
・できない約束はしない、できる約束は必ず守る
【ポイント4】「仕事を楽しむ」文化を意識的に作る
・成功体験の共有(朝礼・社内報・Slack等)
・顧客からの感謝の声を全員で共有
・「今週、楽しかったこと」を発表し合う時間を設ける
・失敗を責めず、学びに変える雰囲気づくり
【ポイント5】経営判断の”透明性”を高める
・なぜその決定をしたのか、背景を丁寧に説明
・社員からの質問に真摯に回答
・「わからない」「検討中」と正直に伝える
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5. 小規模部門1位「イベント21」に学ぶ|16年赤字→日本一への道
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小規模部門1位のイベント21は、前回記事で詳しくご紹介した通り、かつて16年連続で債務超過に苦しんだ企業です。
■奇跡の数字
・採用希望者:約1,500人(従業員数の7.5倍)
・離職率:70%削減
・アジア地域ランキング:30位
■成功の秘訣
1. 「YOU HAPPY, WE HAPPY!」の徹底
・顧客・社員・パートナー全員の幸せを最優先
・経営理念を毎日の行動に落とし込む
2. 社員の声の可視化と反映
・月1回の1on1、匿名アンケート
・経営陣が直接回答し、改善スケジュール共有
3. 地域からの感謝を社員の励みに
・イベント終了後の「ありがとう」の声を社内共有
・SNS投稿を朝礼で紹介
このように、資金力ではなく、経営者の本気度と文化づくりが日本一への道を開いたのです。
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6. 今日から始める3つのアクション|0円でできる働きがい改革
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「うちは予算がないから…」と諦める前に、今日からできることがあります。
【アクション1】朝礼で「今週、楽しかったこと」を共有する(所要時間:5分)
・毎週月曜の朝礼で、社員1人ずつ発表
・「お客様に喜ばれた瞬間」「チームで乗り越えた課題」など
・経営者自身も必ず発表する
【アクション2】月1回、経営者自ら全社員と1on1を実施する(所要時間:30分×人数)
・評価面談ではなく「雑談」の時間
・「今、困っていることは?」「楽しく働けている?」を聞く
・メモを取り、次回までに改善案を提示
【アクション3】経営判断の理由を、全社員にメールで説明する(所要時間:10分)
・新規事業、人事異動、経費削減など、重要決定の背景を共有
・「なぜこの判断をしたのか」を丁寧に説明
・質問があればいつでも受け付ける姿勢を明示
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7. まとめ|”働きがい日本一”は、すべての企業が目指せる
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本記事でご紹介した2026年版GPTWランキングは、明確なメッセージを発しています。
〇働きがいは、資金力や企業規模ではなく、経営の質と文化で決まる」
前回までの記事で見てきた通り:
・記事1:カスハラ対策義務化 → 法令遵守と従業員保護
・記事2:人事評価不満69.6% → 評価制度の課題
・記事3:イベント21の奇跡 → 解決策の実例
・**記事4(今回):GPTWランキング → データが裏付ける”経営の質”の重要性**
すべてが「経営者の本気度」と「社員との対話」に帰結します。
16年連続赤字だった小さな会社が、日本一になれたのです。
あなたの会社にできないはずがありません。
今日から始める第一歩
1. 朝礼で「今週、楽しかったこと」を共有する
2. 月1回、全社員と雑談1on1を実施する
3. 経営判断の理由を、メールで丁寧に説明する
「働きがい日本一」は、すべての企業が目指せる目標です。
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【参考資料】
・Yahoo!ニュース「2026年版『働きがいのある会社』ランキング発表」
https://article.yahoo.co.jp/detail/948484f8b5386db6bb435aaee40cd9e0a1a3dea7
・Great Place To Work® Japan 公式サイト
https://hatarakigai.info/
・前回記事「イベント21の奇跡」
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【執筆者プロフィール】
社会保険労務士として、中小企業の人事評価制度改革・エンゲージメント向上を支援しています。「制度よりも対話」「報酬よりも承認」を大切に、社員が誇りを持って働ける組織づくりをサポートします。お気軽にご相談ください。




