労務経営ブログ

長期間の自宅待機命令の違法性の検討

「みずほ銀行」が行員への4年半の自宅待機を異常な事態として損害賠償命令をくだしました。
https://news.yahoo.co.jp/articles/8edd4c0360b8f9464cdd34b80c6b6ae8e4132bec

退職勧奨を受けた従業員が4年に渡る自宅待機命令を受け、就労継続のために出社命令を受けたが従業員側が出社に応じず、回答もしなかったため解雇をした事案。
解雇は有効だと認められているんですが、自宅待機命令が4年に渡る長期間となったことに対して裁判所は「通常想定し難い異常な事態」と指摘し、一定の期間で復帰先を提示すべきで、実質的には退職以外の選択肢を与えない状態を続けたとして、「社会通念上許容される限度を超えた違法な退職勧奨」だと認定し、それに対して慰謝料330万円の支払いを命いじました。解雇までの期間についても争いがあったが、従業員側の主張が全面的に認められてはいません。

解雇や退職勧奨の労働相談を受けていると、退職に納得してくれないなら、その気になるまで給与は支払うから自宅待機や人のいない部屋に勤務を命じて、自由に過ごすことは認めないがほぼ仕事は与えない、なんてことを考える会社はたまにあり、「これは給与払っていれば問題ないですよね?」なんて相談されることがあります。まあ、こんなに長期間想定していないし、実際にやってもこれだけの期間の事例は観たいことないですけどね。要は退職する気になるまで出勤停止をさせるって感覚なんだと思います。こういった感覚になることは理解できます。サラリーマン時代に内部監査の仕事をしていましたが、特に問題を起こした従業員に対して職場復帰をさせることはリスクが高いので、出勤、他の社員には一切接触させずにいなくなってもらいたい事案というものはありますからね。例えば、「あと数年で定年退職」となるみたいな時もあったりするわけです。他の社員に接触して変なことをされたり、勝手なことを言われたりして社内の雰囲気を壊されるくらいなら、解雇などで余計な波風を立てるより給与を全額払ってでも大人しくしていてほしいということもあるわけです。ちなみにその支払い全額を一括で解決金を支払うといっても載ってこないこともあります。これは感情論に発展してしまっているので、損得など冷静な判断がつかないことも多いんでしょうね。

ちなみに過去の判例により「従業員には就労請求権がないため、会社に出社し、仕事を与える義務はない」と思われるかもしれませんが、そうは問屋が卸しません。
今回の事件の判決文を見ていないので同様の考えを取っているかは不明ですが、権利が無いから賃金を払っていれば問題ないと言えるかは、少し違った視点で考える必要があります。仮にこれが争いの争点となった場合、「労働者側の働く権利の侵害」という法律問題に発展してしまう可能性を考えてしまいます。今回の判断とは別に「働く権利の侵害」をしたので慰謝料請求が認められるという流れです。これは日本国憲法でも認められる「職業選択の自由」から派生して働く権利が抽象的に存在すると考えられるからです。これから、会社が従業員と雇用契約を結んでいるにもかかわらず、一方的に賃金だけを支払って、働くという、ある意味「自己実現」をする側面を一切与えないことは人権の侵害ともいえると思っています。

なんか今回の判決では述べられていないことを大げさに論じていますが、こっちの論争の方が会社はダメージが大きくなり怖い気もしています。ニュースでは慰謝料金額が低すぎると言っているので高裁、最高裁まで争いは続いていくのかもしれませんので、この後も注目していきたいと思います。

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