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解雇理由を具体的に記録する方法とは?社労士が解説!
解雇を適切に行うためには、「解雇理由を具体的に記録し、客観的な証拠を残すことが重要」です。解雇の手続きが不適切だったり、解雇理由が曖昧だったりすると、従業員から「不当解雇だ」と訴えられるリスクがあります。特に、日本の労働法は労働者保護の観点が強いため、企業側は慎重な対応が求められます。ここでは、解雇通知書や人事記録の作成方法、具体的な記録内容や適切な表現のコツについて、社会保険労務士(社労士)の視点から詳しく解説します。
〇解雇理由を具体的に記録する方法
解雇の有効性を証明するためには、書類や記録をしっかり残しておくことが不可欠です。
解雇に関する記録として、以下の3つの書類を作成・管理することをおすすめします。
・解雇通知書(解雇の理由や時期を正式に通知する書類)
・人事記録(従業員の勤務状況や評価、過去の指導歴を記録する書類)
・懲戒処分記録(服務規律違反や問題行動に関する記録)
これらの書類が揃っていることで、企業側の対応が適切であったことを証明でき、トラブルを防ぐことができます。
1.解雇通知書・人事記録の作成ポイント
解雇の正当性を証明するためには、以下の情報を具体的に記載する必要があります。
(1)解雇の理由(具体的な事実を明記)
「勤務態度が悪い」「成績が低い」といった抽象的な表現ではなく、以下のように具体的に記録することが重要です。
・NGな例:勤務態度が悪い → 抽象的で証拠になりません
・OKな例:2024年1月から3月にかけて、無断欠勤が5回あり、3回にわたり上司が口頭注意を行ったが改善が見られなかった
また、「解雇の根拠となる就業規則の条文」を明記することで、より適法性が高まります。
(2)指導・改善指示の履歴
企業が解雇を決定する前に、「口頭注意や書面による警告を行った証拠」を残しておくことが重要です。
具体的な記録例:
2024年1月5日:無断欠勤1回目 → 口頭注意
2024年1月20日:無断欠勤3回目 → 書面で警告
2024年2月10日:改善が見られないため、最終警告を実施
このように、具体的な日付や指導内容を記録しておくことで、解雇がやむを得なかったことを証明する根拠として明示することができます。
(3)解雇の決定日と通知日
解雇を通知する日と、実際に解雇が発効する日を明確に記載します。
例:
解雇通知日:2024年3月1日
解雇発効日:2024年3月31日(30日間の解雇予告期間あり)
また、解雇予告手当の支払いについても記録しておくことで、法的トラブルを防ぐことができます。
〇曖昧な表現を避け、適切な表現を使うコツ
解雇通知書や人事記録を作成する際には、感情的・主観的な表現を避け、客観的な事実のみを記載することが重要です。
1.感情的な表現を避ける
・NGな例:「本人の態度が悪く、協調性に欠けるため解雇とする。」
・OKな例:「2024年1月~3月の期間において、上司の指示に従わず、複数回の業務指示無視が確認されたため、就業規則第10条(服務規律違反)に基づき解雇とする。」
2.証拠に基づいた記載を行う
・NGな例:「能力が低いため解雇とする。」
・OKな例:「2023年4月~2024年3月の評価において、指導を受けた後も営業ノルマの達成率が常に50%以下であったため、就業規則第15条(業務遂行能力の不足)に基づき解雇とする。」
このように、定量的なデータや事実に基づいて記載することで、解雇の正当性が高まります。
〇解雇理由の記録は企業を守るカギ
解雇に関するトラブルを防ぐためには、「具体的な記録を残し、適切な表現で書類を作成することが不可欠」です。
・解雇通知書には、具体的な解雇理由・指導履歴・日付を明記する。
・感情的・抽象的な表現を避け、客観的なデータや証拠を示す。
・口頭注意や書面警告の記録を残し、解雇がやむを得なかったことを証明する。
不適切な解雇は、労働審判や訴訟リスクを高め、企業の信用にも影響します。最近は様々な問題がネットニュースして取り上げられることが増え、そういった記事をまとめる掲示板などに転載されるといつまでのネット上に記録が残る可能性があります。以前と比べるとそれだけ企業にとって風評的な被害となるリスクが増していると言えるのです。それを避けるためには、解雇を適切に進めるために、事前に社労士へ相談し、適切な記録と手続きを行いましょう。解雇に関するお悩みがある企業の方は、ぜひ社会保険労務士(社労士)にご相談ください!