労務経営ブログ
関東近県の企業におけるテレワークの現状と動向
新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、多くの企業が緊急措置として導入したテレワーク制度ですが、しかし、社会の正常化が進むにつれ、その必要性が見直されつつあります。特に、東京都や神奈川県、千葉県、埼玉県といった関東近県の企業では、オフィス勤務へ戻す動きが強まっています。
一方で、すべての企業がテレワークを廃止しているわけではなく、「完全出社」「完全リモート」「ハイブリッド(併用)」と、企業ごとにさまざまな対応を取っています。ここでは、関東近県の企業におけるテレワークの現状や業種ごとの傾向について詳しく解説していきます。
〇テレワークを継続している企業の割合
2020年には全国の企業の約60%がテレワークを導入しましたが、2023年以降はその割合が減少傾向にあります。総務省の「通信利用動向調査」や各種民間調査によると、現在でもテレワークを継続している企業の割合は以下のようになっています。
・全国平均:約30%
・東京都:約40%
・神奈川県・千葉県・埼玉県:約30%前後
・地方都市:20%未満
関東近県の中でも、特に東京都ではテレワークを継続する企業が多い傾向にあります。これは、オフィス賃料が高く、通勤時間の長い企業が多いため、テレワークによるコスト削減や従業員の負担軽減を重視する企業が多いためと思われます。一方で、神奈川・千葉・埼玉では、業種によってはテレワークの縮小が進んでいる傾向が分かります。例えば、製造業や小売業、飲食業などの企業では、業務の性質上、リモートワークが難しいため、出社勤務へ戻る動きが強まっているようです。
〇テレワークを廃止または縮小した企業の動機
テレワークを導入した企業の中には、「コロナ禍が収束した」という理由でテレワークを縮小・廃止するケースが増えています。その主な動機として、以下のようなものが挙げられます。
1.コミュニケーションの課題
テレワークが長期間続くことで、従業員同士のコミュニケーションが不足し、業務の進行に支障をきたすケースが増えました。特に、新入社員や若手社員にとっては、上司や先輩からの指導が受けにくく、スキルアップの機会が減るという問題も指摘されています。
2.労務管理の難しさ
企業側にとって、テレワーク中の従業員の労働時間や業務の進捗を正確に把握するのは難しく、勤怠管理の負担が増加しました。特に、長時間労働や勤務実態の不透明さが問題視されるケースが多く、適正な労務管理を行うために「出社勤務を基本とする」という企業が増えています。
3.生産性の低下
テレワークでは、従業員の自己管理能力に依存する部分が大きくなります。そのため、企業によっては「業務効率が下がった」と判断し、テレワークを廃止するケースも見られます。また、営業職など対面でのコミュニケーションが重要な職種では、「顧客との信頼関係構築が難しくなった」との声もあります。
4.企業文化の維持が難しい
長期間のテレワークにより、「企業文化が薄れる」「帰属意識が低下する」といった懸念もあります。企業の経営層や管理職の中には、「オフィスでの対面コミュニケーションを大切にしたい」という意見を持つ人も多く、テレワークの縮小を決定する企業も増えています。
〇業種ごとの傾向(IT業界・製造業・サービス業など)
テレワークの導入・継続状況は、業種ごとに大きく異なります。ここでは、主要な業種ごとの傾向を解説します。
1. IT業界(継続派が多い)
IT業界では、テレワークを継続する企業が比較的多い傾向にあります。理由として、業務の大半がオンラインで完結できること、リモートワークツールの普及が進んでいることなどが挙げられます。特に、エンジニアやデザイナー、マーケティング担当者などの職種では、「オフィスに出社する必要がない」と考える人も多く、フルリモートを許可する企業も増えています。
2.製造業(出社勤務が基本)
製造業では、工場勤務や現場作業が必要なため、テレワークの導入は限定的です。コロナ禍では一部のバックオフィス業務でテレワークが導入されましたが、現在は出社勤務に戻る企業が多いです。生産現場との円滑な連携を重視し、「対面でのコミュニケーションが不可欠」と考える企業が多いことも影響しています。また、一部の従業員から「区別された」といった一部差別的な感情が生まれる土壌のリスク管理として縮小する考えもあります。
3.サービス業(飲食・小売など)(出社が基本)
サービス業では、顧客対応が中心となるため、テレワークの導入はほぼ不可能です。特に、飲食業や小売業では「現場での業務が必須」となるため、テレワークの導入率は非常に低くなっています。ただし、経理やマーケティング、カスタマーサポートなどの一部のバックオフィス業務では、テレワークを部分的に継続する企業もあります。
4.コンサルティング・金融業界(ハイブリッドが主流)
コンサルティング業界や金融業界では、顧客との対面業務が重要なため、完全なテレワークは難しいものの、一部リモートワークを維持している企業が多いです。例えば、「週に2〜3日は出社、残りは在宅勤務」といったハイブリッドワークを導入する企業が増えています。
〇関東近県の企業はハイブリッドワークが主流に?
関東近県の企業では、業種や職種によってテレワークの導入状況が異なりますが、完全に廃止する企業もあれば、一部継続する企業もあります。特に、オフィスコストの削減や従業員の柔軟な働き方を重視する企業では、「ハイブリッドワーク(出社とテレワークの併用)」が主流になりつつあります。企業がテレワークの継続を判断する際には、「業務の効率化」「従業員の満足度」「労務管理のしやすさ」などを総合的に考慮することが重要です。