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解雇の事前準備としての就業規則と労働契約書の見直しポイントを社労士が解説!

解雇を適切に行うためには、事前に就業規則や労働契約書を見直し、明確なルールを整備しておくことが不可欠です。これらの書類が曖昧なままだと、解雇の際にトラブルが発生しやすく、労働審判や訴訟に発展するリスクも高まります。ここでは、企業が事前に準備すべきポイントや、就業規則・労働契約書の運用ルールを明確にするためのチェックリストを解説します。

〇就業規則と労働契約書の見直しポイント
1.就業規則の役割と重要性
就業規則とは、企業と従業員の労働条件やルールを定めた文書です。労働基準法では、常時10人以上の労働者を雇用する企業は就業規則の作成・届出が義務付けられています(労働基準法第89条)。
就業規則を適切に整備しておくことで、解雇を含む労務管理をスムーズに進めることができ、トラブルのリスクを大幅に軽減できます。就業規則で見直すべき「よくある問題点は、「就業規則に解雇の具体的な条件が記載されていない」、「懲戒解雇の基準が曖昧で、運用が統一されていない」、「最新の労働関連法に対応していない」ことがよく挙げられます。これらの問題があると、解雇をめぐる争いが発生しやすくなります。そのため、定期的に就業規則を見直し、最新の法規制に適合させることが重要です。

2.労働契約書のポイント
労働契約書は、従業員との間で交わされる個別の労働条件を定めた契約書です。企業が解雇を実施する際、労働契約書の内容が不明確だと、「契約違反」や「解雇無効」を主張される可能性があります。労働契約書を確認しているとあいまいになることが多いのは次の点です。「解雇に関する規定(普通解雇・懲戒解雇の条件)」、「試用期間の設定(試用期間中の解雇条件)」、「業務遂行能力や勤務態度に関する評価基準」。
特に、「試用期間中の解雇」については、労働契約書に明記しておくことで、企業側のリスクを軽減できます。
例えば、「試用期間中に問題があれば解雇することがある。」と記入がされていても内容が曖昧でリスクがありますが、「試用期間中に重大な勤務態度の問題や業務遂行能力の著しい不足が認められた場合、就業規則第○条に基づき解雇とする。」のように、曖昧な表現を避け、具体的な条件を明記することがポイントです。

〇企業が事前に準備しておくべきこと

解雇トラブルを防ぐためには、事前に以下の3つの準備を行うことが重要です。
1.解雇に関する規定の明確化
・普通解雇・懲戒解雇の条件を明確に記載する
・「能力不足」や「勤務態度不良」に関する判断基準を設ける
・「改善指導の回数」や「指導期間」を具体的に定める

2.記録の整備(人事評価や指導履歴)
解雇を適法に行うためには、従業員の勤務態度や業務成績の記録を適切に管理することが必要です。
記録すべき項目項目としては、「勤務評価シート(定期的な人事評価の記録)」、「指導・警告の履歴(口頭注意・書面指導の記録)」、「労働契約書や雇用契約書の写し」などがあります。これらの記録があれば、解雇がやむを得ないものであったことを証明しやすくなります。

3.社内研修の実施
就業規則や労働契約の内容を、管理職や人事担当者が正しく理解していることも重要です。
研修テーマとして「適正な解雇手続きの進め方」、「懲戒解雇と普通解雇の違い」、「ハラスメントやコンプライアンスの基礎知識」などがあります。社内で統一したルールを運用できるように、定期的な研修や勉強会を実施することをおすすめします。

〇運用ルールを明確にするためのチェックリスト
就業規則や労働契約書を適切に運用するために、以下のチェックリストを活用してください。
・解雇の条件は明確に記載されているか?
・懲戒処分の基準が具体的に定められているか?
・普通解雇と懲戒解雇の違いが明確になっているか?
・就業規則が最新の労働法に対応しているか?
・労働契約書に試用期間や解雇の条件が明記されているか?
・解雇に至るまでの注意指導のプロセスが定められているか?
・指導・警告の記録を適切に管理できているか?
・管理職・人事担当者が適切な研修を受けているか?

このチェックリストを活用し、解雇の際に不備がないか事前に確認することが重要です。

〇就業規則と労働契約書を整備し、解雇トラブルを防ぐ
適正な解雇を行うためには、就業規則と労働契約書を最新の法律に合わせて整備し、企業としての運用ルールを明確にすることが不可欠です。
・解雇に関する規定を明確化し、就業規則を見直す
・労働契約書に試用期間や解雇条件を明記する
・人事評価や指導履歴を記録し、適切に管理する
・管理職・人事担当者向けの研修を定期的に実施する

解雇に関するトラブルを未然に防ぐためにも、社労士などの専門家のアドバイスを受けながら、就業規則や労働契約書の見直しを進めましょう。就業規則の見直しや労務管理に関するご相談は、ぜひ社会保険労務士(社労士)にお任せください!

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