労務経営ブログ

テレワーク継続を検討する企業が抱える主な課題と社労士による解決策

テレワークの普及により、企業は柔軟な働き方を提供できるようになった一方で、新たな課題にも直面しています。特に「労務管理の難しさ」は多くの企業が抱える共通の問題です。
オフィス勤務では、出勤・退勤の管理が比較的容易でしたが、テレワークでは「労働時間の把握」や「業務の成果評価」が難しくなります。適切な労務管理を行わないと、企業側の管理負担が増加するだけでなく、労働基準法違反のリスクも高まります。
そこで今回は、企業が直面する労務管理の課題と、その解決策について社労士の視点から解説します。

〇労務管理の課題とその対応策
テレワークにおいて企業が最も悩むポイントは、「労働時間の適正な管理」と「成果評価の基準の見直し」です。これらの問題を放置すると、従業員の生産性低下や不公平な評価、さらには法令違反につながる可能性があります。
1.労働時間の適正な管理(労働時間の把握・勤怠管理ツールの活用)
多くの企業でテレワークの問題とされているのは、テレワーク中の労働時間の把握が難しい点となります。実際にテレワーク勤務中に中抜けをしたり、届け出なく勤務外の行為や私用外出をした例など多くの問題が発生している事例があります。オフィス勤務であれば、出社・退社の記録を取ることで労働時間を管理できます。しかし、テレワークでは「何時から何時まで働いたのか」「実際にどれくらい業務をしていたのか」を正確に把握するのが難しくなります。
特に以下のような問題が発生しやすくなります。
・長時間労働の増加:通勤時間がない分、労働時間が長くなりがち
・休憩時間の不明確化:労働基準法上の休憩時間を適切に取得できていない
・サービス残業の発生:労働時間の記録が曖昧になり、未払い残業のリスクが高まる

このような問題を解決したり、労働時間を正しく管理するためには、勤怠管理ツールの導入が有効となります。最近では、テレワークに対応した勤怠管理システムが多数提供されており、企業ごとに適したツールを導入することで管理の負担を軽減できますし、しっかりと管理されていると従業員に認識させることで気を引き締める効果も期待できます。
活用すべき勤怠管理ツールとしては次のようなものがあります。
・クラウド型の勤怠管理システム(ex. ジョブカン、KING OF TIME、freee勤怠管理など)
・PCのログ管理ツール(作業ログを記録し、勤務実態を把握)
・打刻アプリ(スマートフォンでの出退勤打刻を可能にする)

また、勤怠管理のルールを明確にすることも重要です。例えば、「勤務開始・終了時の打刻を義務化」、「一定時間以上の連続勤務を禁止し、休憩取得を促す」、「時間外労働を行う場合は事前申請を必須とする」などの活用考えられます。
社労士としては、企業の実態に合わせた労務管理ルールの策定をサポートし、適正な労働環境を維持するためのアドバイスを提供できます。

2.成果評価の基準の見直し
テレワークでは、従業員の働きぶりを直接観察することができません。そのため、「誰がどれだけの成果を出しているのか」が把握しにくくなり、評価の公平性が損なわれるリスクがあります。つまり、オフィス勤務と同じ評価制度では適正な評価が難しいという問題が発生すると言えます。具体的には、以下のような問題が生じます。
・働いている様子が見えないため、評価にバイアスがかかる
・勤務態度やプロセスよりも、結果のみが重視される
・業務の可視化が不十分で、評価基準が曖昧になる

これらの問題により、テレワーク中の従業員が「正当に評価されていない」と感じ、モチベーションが低下するケースも少なくありません。
こういった問題点を解決する方法として、テレワークにおける評価制度を適正化するために、「成果主義」と「プロセス評価」を適切に組み合わせること方法があります。
例えば次にようにしっかりと分解して判断を考える方法です。
【成果主義の導入】
・売上や契約数など、数値化できる成果を評価する
・目標設定を明確にし、達成度に応じた評価を行う
【プロセス評価の強化】
・業務の進め方や、チームへの貢献度を評価項目に含める
・オンライン会議や報告書を活用し、日々の業務を可視化する
【360度評価の導入】
・上司だけでなく、同僚や部下からのフィードバックも評価の一部とする
・多方面からの評価を取り入れることで、公平性を高める

また、定期的なフィードバック面談を実施し、従業員と対話しながら評価制度を改善していくことも大切です。社労士としては、企業の評価制度の見直しをサポートし、従業員のモチベーション向上につながる仕組み作りを支援します。

〇社労士による適切な労務管理のサポートが鍵
テレワークを継続する企業にとって、「労働時間の適正な管理」と「成果評価の適正化」は避けて通れない課題です。
・勤怠管理ツールの導入とルールの明確化で、労働時間の把握を強化
・成果主義とプロセス評価をバランスよく組み合わせ、公平な評価制度を構築

これらの取り組みを適切に進めることで、企業はテレワークのメリットを最大限に活かしながら、適正な労務管理を実現できます。
社労士としては、企業ごとの状況に応じた労務管理のサポートを提供し、テレワーク時代にふさわしい働き方のルール作りを支援していくことが重要です。企業の経営者や人事担当者は、適正な労務管理を進めるために、ぜひ社労士の専門的なアドバイスを活用してみてください。

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