労務経営ブログ

テレワーク制度の見直しポイント

新型コロナウイルスの影響で急速に広がったテレワークですが、社会の正常化に伴い、多くの企業が「今後もテレワークを続けるべきか?」という問題に直面しています。

完全なテレワークを維持する企業もあれば、オフィス回帰の動きを進める企業もあります。しかし、現在の主流となりつつあるのは「部分的なテレワーク(ハイブリッドワーク)」の導入や、「週○回出社ルール」の設定といった、柔軟な働き方を取り入れながら、出社のメリットも活かすハイブリッド型の制度です。ここでは、企業がテレワーク制度を見直す際に考慮すべきポイントについて詳しく解説します。

〇部分的なテレワーク(ハイブリッドワーク)の導入
【課題】テレワークと出社のバランスが難しい
完全テレワークでは、労務管理の難しさやコミュニケーション不足といった課題が生じます。一方、完全出社に戻すと、従業員の負担が増え、働き方の柔軟性が失われるリスクがあります。

そこで、多くの企業が採用しているのが、「ハイブリッドワーク」という働き方です。ハイブリッドワークとは、**「テレワークとオフィス勤務を組み合わせる制度」**のことで、企業ごとにさまざまな形で運用されています。

【解決策】ハイブリッドワークの導入方法
企業がハイブリッドワークを導入する際には、以下のポイントを考慮する必要があります。
1.業務内容ごとにテレワークの可否を決める
すべての業務がテレワークに適しているわけではありません。例えば、以下のように業務ごとにテレワークの適用範囲を決めるのが一般的です。
(1)テレワークが可能な業務
・書類作成、データ入力、プログラミング、マーケティング分析など
・一人で進められる業務が中心

(2)出社が必要な業務
・顧客対応、製造業務、店舗運営、機密情報を扱う業務など
・対面でのやり取りが必要な業務

このように、「職種別・業務内容別にテレワークの可否を決める」ことで、無理なくハイブリッドワークを導入できます。

2.チーム単位でのルールを設定する
ハイブリッドワークを導入する際は、「個人の自由に任せる」のではなく、チームごとに出社ルールを設けることが重要です。例えば、以下のようなルールを設定することで、チーム全体の一体感を維持できます。
・「毎週○曜日はチーム全員出社」
・「プロジェクトのキックオフや重要な会議の日は出社」
・「2週間に1回は対面でのミーティングを実施」

チーム内でのコミュニケーションを重視しながら、業務に応じた柔軟な運用ができるようにしましょう。

3.出社時のメリットを明確にする
テレワークに慣れた従業員の中には、「なぜ出社しなければならないのか?」という疑問を抱く人もいます。そのため、出社のメリットを企業側がしっかり提示することが重要です。

例えば、以下のような理由を明確にすることで、出社への納得感を高められます。
・チームワークを強化するため(対面でのブレインストーミングやディスカッションの機会を増やす)
・キャリア形成をサポートするため(上司や先輩との交流機会を増やし、成長を促進)
・企業文化を維持するため(社員同士のつながりを深め、帰属意識を高める)

こうした目的を明確にすることで、従業員の理解を得やすくなります。

〇週○回出社ルールの設定
【課題】自由すぎると組織の一体感が失われる
完全テレワークを導入すると、チームメンバー同士の交流が減り、組織の一体感が低下するリスクがあります。また、自由すぎる働き方では、特定のメンバーだけが負担を背負う状況になりやすく、不公平感が生まれることもあります。

そこで、多くの企業が「週○回出社ルール」を設定し、テレワークとオフィス勤務のバランスを取る工夫をしています。

【解決策】週○回出社ルールの導入方法
週○回出社ルールを導入する際のポイントを紹介します。
1.一律のルールではなく、業務や職種に応じて設定する
全社員に対して「週3回出社」といった一律のルールを設けるのではなく、業務内容や職種に応じた柔軟なルールを設けることが大切です。

例えば、以下のように職種ごとにルールを調整するのが効果的です。
・エンジニア・デザイナー → 週1〜2回出社(集中作業が多いため、テレワーク中心)
・営業・コンサルタント → 週3〜4回出社(対面での打ち合わせが必要)
・人事・総務 → 週3回以上出社(社内対応業務が多いため)

こうすることで、業務効率を落とさずに適切なテレワーク制度を運用できます。

2.出社日を固定するか、選択制にするかを決める
出社ルールには、大きく分けて2つのパターンがあります。
(1)固定制(例:「毎週火・木は全員出社」)
・メリット:チームメンバー全員が揃いやすく、会議や研修を計画しやすい
・デメリット:柔軟性が低く、個人の都合に合わせにくい

(2)選択制(例:「週3回出社。出社日は個人の裁量に任せる」)
・メリット:個人のライフスタイルに合わせやすい
・デメリット:同じ日に出社するメンバーが少なくなる可能性がある

企業文化や従業員のニーズに応じて、どちらの方法が適しているかを検討しましょう。

〇柔軟な制度設計で最適な働き方を実現
企業がテレワーク制度を見直す際は、「完全リモート」か「完全出社」かの二択ではなく、ハイブリッドワークを前提とした柔軟な制度設計が求められます。
・部分的なテレワークを導入し、業務や職種に応じた働き方を設計する
・週○回出社ルールを設定し、組織の一体感を維持しながら柔軟性を確保する

これらの工夫をすることで、従業員の働きやすさと企業の生産性を両立させることができます。企業の状況に合わせた最適な制度を構築していきましょう。

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