労務経営ブログ

解雇トラブルから企業を守る「記録整備」という経営リスクマネジメント ――東京都・神奈川・千葉・埼玉エリアでの実情と対策

企業活動において「人材の雇用」と「解雇」は切っても切り離せないテーマです。特に昨今では、労働者の権利意識が一段と高まっており、企業が従業員の解雇に踏み切る際には、法的リスクが極めて高い状況にあります。

私はこれまで、金融機関や損害保険会社において融資審査や内部監査、また社労士法人の代表として多くの企業の労務支援を行ってまいりましたが、解雇トラブルの原因の多くは、「記録が整備されていないこと」に起因しています。

〇首都圏エリアにおける解雇トラブルの傾向と背景
東京、千葉、埼玉、神奈川といった首都圏は、企業数および従業員数ともに全国トップクラスであり、多種多様な業種が存在しています。特に人手不足が深刻な中小企業においては、問題社員への対応が後手に回り、最終的に解雇という判断を下すものの、必要な記録や手続きが伴っていないケースが散見されます。

その結果、労働審判や裁判に発展し、企業側が金銭的負担を強いられる場面も少なくありません。こうした事態を未然に防ぐためには、日常的に「正当な解雇のための証拠」を整えておくことが重要です。

〇地域別に見るリスク傾向と記録整備の必要性
1.東京都:権利意識の高い労働者層と高度な対応が求められる環境
東京都は高い専門性を持つ労働者が多く、情報リテラシーも高いため、労働問題が発生した際にはすぐに弁護士や労働組合を活用する傾向にあります。特にベンチャー企業やスタートアップにおいては、成長スピードが早い一方で、就業規則や労務管理体制の整備が追いつかず、トラブルに発展するケースが増加しています。

2.千葉県:中小企業における内部統制の脆弱さ
製造業や物流業を中心に発展している千葉県では、従業員数が少ない企業が多く、経営者や現場責任者が人事を兼務しているケースも少なくありません。こうした環境では、従業員との関係が属人的になりやすく、注意・指導が文書として残されないことがトラブルの温床となります。

3.埼玉県:即戦力を求めるがゆえの“即時解雇”リスク
埼玉県では、製造・建設・介護といった業種が多く、現場では即戦力が求められています。その結果、問題行動があった従業員を即時に解雇するという判断がなされやすいのが実情です。しかし、適切な就業規則の手続きや改善指導記録が存在しないまま解雇に至った場合、不当解雇と判断されるリスクは非常に高くなります。

4.神奈川県:労使トラブルの発生率が高く、制度活用も進んでいる
神奈川県では、個別労働紛争解決制度(いわゆる「あっせん制度」)の利用件数が非常に多く、労使間のトラブルが表面化しやすい地域です。このような環境下では、企業が「どのように対応したか」という記録が存在しない限り、企業側の主張が通りにくくなります。

〇記録整備は、企業経営を守る“防衛線”
多くの企業が、「記録の重要性は理解しているが、整備まで手が回っていない」という課題を抱えています。しかし、記録がなければ、企業の主張は証拠として通用しません。

正当な解雇と認められるためには、以下のようなポイントを網羅する文書が必要です:
1.問題行動が実際に発生した証拠(具体的な日時・内容)
2.注意・指導を行った記録(口頭ではなく書面やメールなど)
3.従業員に対して改善の機会を与えた経緯
4.改善が見られなかったことの継続的な証明

また、指導の際の文言が不適切であれば、パワハラと認定されるリスクすらあります。記録の内容や表現についても、社会保険労務士など専門家の関与が推奨される理由です。

〇専門家とともに、法的リスクを戦略的に回避する
私はこれまで、内部監査・労働調査・教育研修など多方面で企業を支援してまいりました。その中で確信しているのは、「記録整備は単なるコンプライアンス対応ではなく、経営リスクを未然に防ぐ戦略的手段」であるという点です。

記録を整えることは、経営者にとっての“リスクヘッジ”であると同時に、従業員との信頼構築にもつながります。属人的な対応から脱却し、組織としての意思決定が可能になるのです。

〇おわりに:企業の皆様へ
以下のような課題をお持ちの方は、ぜひ一度ご相談ください:
・問題社員への対応に不安がある
・解雇を進めたいが、正当性をどう証明すべきか分からない
・労働局からの調査や行政対応に備えたい
・人事制度や評価体制の整備を含めて、抜本的に見直したい

私たち社会保険労務士法人 東京中央エルファロでは、解雇対応を含む人事労務の整備を通じて、企業の健全な成長を支援しております。
リスクを未然に防ぎ、強い組織を築くために、今一度「記録」の整備を見直してみませんか?

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