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退職勧奨を円滑に進める方法~1.話し合いの場の重要性~

退職勧奨を進めるときに大抵は、「退職勧奨が有効と判断された判例を調べる」、「世間相場や会社の有利な条件を考える」、「希望退職などの方法を考える」などが一般的となります。もちろん社員と問題を起こさないためにもこういったことを考えることは重要ですが、本当に重要なことは、「どんな話し合いの場を提供する」ことを考えることです。これは実際の進め方を指しています。もっと具体的に言えば、次のような事柄です。
①誰が話をするのか
②どんな手順で話をするのか
③どういった話をするのか

 退職勧奨の失敗例で一番多いのは、上司などが話をするときに必要以上に固くなり、短時間で必要なことだけを告げることにより社員と感情的な軋轢を生んでしまい、結果として感情論となってしまうこと。または、必要以上の話を避けて、メールなどのやり取りとなり、お互い感情の行き違いが発生してしまい感情論になってしまうことです。

 退職勧奨を受けた社員が何も言わずに「はい」ということは、どんな高額な退職金を提示したり好条件を提示しても通常はありえません。もし、そんな社員がいた場合、その社員はもともと辞めようと思っていたか、会社に見切りをつけていた可能性があるような場合だけでしょう。通常社員の方としては「なぜ自分が辞める必要があるのか?」、「今まで会社のために努力してきたのに、突然、辞めるように言われた」と思うはずです。そんな中で、いきなり退職条件の話を一方的にされたり、その場ですぐに返答を求めたりすれば、社員としては驚いたりすぐに返事はできない状態となるのが普通だと思います。それなのに、社員の話を聞かずに返答を求めたり、一方的に話をすれば大きなトラブルの種になりかねません。
 最初にこんな対応をしてしまえば、社員は「なんて失礼な対応だ!」という感情を持ってしまい、そういった感情はすべてのことに疑心暗鬼な考えに繋がってしまう可能性があります。また、こういった感情は簡単には無くなりませんし、こういったことが社員間で広まってしまえば悪感情が社内に蔓延してしまい、スムーズに進んだかもしれない退職勧奨が進まないことになりかねません。

 退職勧奨を開始してから相談を受けた問題の多くは、最初のアプローチ方法に問題があったために問題が大きくなってしまったということであり、そのために当初の金額以上の退職金の用意が必要になったり、ユニオンや弁護士が介入する案件に発展してしまったりします。

 面倒な物事をうまく進めるためには「丁寧で誠実な対応」を心がける必要があるのは、退職勧奨に限らず日常の業務でも当たり前なことです。面倒なことこそメールや文章で済まさずに、対面で話す機会を設けるようにしましょう。当然、こういった行為は時間もかかり、話をする人には時間的にも精神的にも多大な負担がかかります。そのため、こういったことを避けることが多いですが、それにより揉め事が大きくなる傾向があることも事実です。逆に、こういったことをしっかりと行った退職勧奨は、金銭的な費用や時間が想定より少なく揉め事が最小限度で済んでいます。

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